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partⅣ 秋山豊之(画家・講師)

 

テーマ「巨匠を解剖する」

テーマ「巨匠を解剖する」
 
 
~名画を前にあなたは作家の意図した絵画の仕組みがよみとれるか。~
(テーマ『巨匠を解剖する』2015/8/23開催)
 
ワークショップ第四弾、2015年夏のラストを飾ったのは、秋山豊之氏。現在綜合デザイン研究所代表、また吉祥寺美術学院にて指導の傍ら、自身の創作活動はもちろん、日々美術への熱意を増し続けエネルギッシュに活動しています。
 
今回、パブロ・ピカソに焦点をしぼり、内面的な表現から造形的な形についてまで、画家の制作意図に迫りました。
 
「複数の作品から趣味や興味で選ぶことからはじまり、それを言語化する。次に、計測ではなくイメージ力、経験的な「直感力」に問題を投げかけた」とのことです。
 
 
会場には、ピカソ14歳~青の時代までの5点の作品を掲示。加えて、ピカソが青について残した言葉や、ガウディの言葉なども貼り出され、これだけでも満たされた空間に。
 
   
「創造するのは神だ。人間は発見するものだ。」(アントニオ・ガウディ)
 
「観察こそ私の生活における最も重要な部分である。」(パブロ・ピカソ)
 
「色のなかの色<青>とりわけ、より深い青色 おまえこそ この世でもっとも優れた存在だ」(パブロ・ピカソ)
   
プログラム1「どれがすき?」
まず5点の中から一番好きな作品を選択。それぞれ選んだ作品ごとのグループに分かれ、感じたこと発見したことなどを言葉にして作品横に用意されたボードに書き出しました。
 
   
プログラム2「だれでもピカソ」
第2幕では、テーマと時間をしぼっての模写。
5分、2分、1分、30秒とそれぞれ、一本線で描く、点で描くなど、スケッチブックの使い方にもつながる、実践的な場が設けられました。
 
 
 
 

~ワークショップ特別版~ special eddition

~ワークショップ特別版~ special eddition
 
特別レポート
ここからは当日には、聞けなかった内容が盛りだくさん!
 
秋山氏がこのワークショップを開催するにあたり、準備として用意したノートをのぞかせてもらいました!直接は触れられなかった内容がたくさんありますがこの度、特別レポートとして公開します!
 
さらに終了後、ピカソ作品を一点ずつの(スケッチ入り)解説をお願いしました。
 
当日はご参加できなかった方はもちろん、ご参加くださったみなさんもより一層造詣を深めることができるはず!
 
   
●ピカソの歴史から「形」についての考察
 
パブロ・ピカソ
1881年10月25日 スペイン・マラガにて誕生。父は美術学校の教師であった。
1892年11歳 美術学校に入学。アカデミックな木炭デッサンの技法を完全に習得。
1894年13歳 父の技術を凌駕。父は「息子の才能は充分に成熟した。自分より優れたものになったから、自分はもう絵を描くことをやめる。」と宣言。
1895年14歳 父とともにプラド美術館へ。ベラスケス、ゴヤ、スルバランなどの作品に触れる。美術学校の初等クラスを飛越して20歳以上の者のみに受験資格を与えられていた上級の「モデル・デッサン」と「油彩」クラスの入学を許可される。同年、「老人の顔」制作。
 
1897年16歳 ベラスケス [フェリーペ4世]模写
1898年17歳 ゴヤ[ロス・カプリーチョス]17番<ぴったりよ>模写
 
20歳を迎えた1901年から1905年、ピカソを語る上で重要な「青の時代」にたくさんの充実した作品を残す。若干20代前半の青年ピカソが描く作品には、すでに深い精神性が宿っており、人物の顔や手の表情からは、同じくスペインの画家エル・グレコの影響が見える。

【A「老人の顔」】と【B青の時代】の違い
A、物を描く…物の形を描く。

B、形を描く…形に色を与える。
      …形に表情を与える。
      …形に物語を与える。
      …形に意味を持たす。
 
A、物を考え、物を感じる。物を観察する。三次元空間を表現。

B、三次元の二次元化、単純化。
後年の代表作「ゲルニカ」では形は記号化されている。
 
身体は精神の隠喩である
幾何学的なものは生命的なものの隠喩である
言語は思考の隠喩である
 
メタファー(隠喩) ←→ シミリ(直喩)
 
形体は直喩といえる。

日本では「大津絵」にも感じられる。
[大津絵]…元禄(1688~1704)頃、大津の追分あたりで売り出されて流行した、仏像・民間信仰・伝説などを描いた絵。簡素な筆づかいで素朴な味わいがある。
 
単純化とは現実に「もっと持続性のある解釈を」与えるため「事物のもっとも本質的な性質」の表現に向かって形を発展させていくことである。
 
「物の形とは『物』の『形』であって、物は形ではなく、形はまた物ではない。形とは形である。そういう意味での形、すなわち線・色・布局などに美が即して表れるとき、その形・線・色・布局には装飾の美が宿る。」
 
 
   
●ピカソの言葉
「人々は、子どもたちに自由を与えなくてはいけないなんて言っている。しかし実際には彼らに子どもらしい絵を描くように教えてさえいるんだ。いつもそうだが、子どもたちに完全な自由を与えるとか、何よりも束縛してはいけないとか言っておいて、実際には彼らのジャンルに閉じ込めてしまうのさ、鎖でがんじがらめにしてね。妙な話しだがね、僕は子どもらしい絵を描いたことがないんだよ、一度もね。ほんの小さいときからそうだった。初めて描いたころの一枚のデッサンを覚えているんだがね、たぶん6歳だったと思うけど、もっと小さかったかもしれない。親の家の廊下に棍棒をもったヘラクレスの像が置いてあったんで、そのヘラクレスを描いたんだよ。だけど子どもの絵じゃなかった。棍棒を持ったヘラクレスを描いた本物のデッサンだったよ。」………1966年エレーヌ・バルムラン「ピカソは語る」より
 
「画家が絵を描きはじめる。すると絵画は画家の意志を超えて作品をどんどん発展させてしまう。絵画はたしかに画家より強い。」
 
「孤独なしには何も完成されない。私は自分のために一種の孤独をつくってきた。」
  
   
●ピカソと共鳴する思想家・哲学者
キルケゴール(1813ー1855)
デンマークの思想家。ヘーゲルの思弁的体系や教会的キリスト教を鋭く批判し、主体性こそ真理だとして真のキリスト者・単独者への道を追求。現代の実在哲学や弁証法神学に大きな影響を与えた。
著「不安の概念」「あれかこれか」「死に至る病い」など。
 
フッサール(1859ー1938)
ドイツの哲学者。現象学の創始者。初めのブレンダーノの記述的心理学の立場から「算術の哲学」を著したが、後にその心理主義の立場を自己批判し純粋論理学を抗争史、やがて「現象学的還元」の方法を確立して一切の対象的意味を構成する超越論的主観性に立脚した構成的現象学を大成した。後期には意味の発生を解明する発生的現象学の立場に移行し身体・地平・間主観性・生活世界などの独創的な分析を通じて、サルトル、メルロ=ポンティらを筆頭とする現代哲学の展開に多大の影響を与えた。
著「論理学研究」「イデーン」「ヨーロッパの諸学の危機と超越論的現象学」など。
 
いずれもハイデッガーが影響を受けている。
(マルティン・ハイデッガー 1889~1976 実存主義。世界内存在。自己と他。まわりとどう関わっていくかが重要であるという思考。)
 
 

作品解説

作品解説
 
1、「老人の顔」82×62cm 1895年 14歳 
2、「母と子」47.5×41cm 1903年 22歳 
3、「母と子」(母性)65×50.5cm  1905年 24歳
4、「女と鳥」65×49.5cm 1904年 23歳
5、「シュミーズの女」72.5×60cm 1905年 24歳
   
1、「老人の顔」82×62cm 1895年 14歳
顔は古典的な立体表現が強く見えるが、必要な形を選びとる観察力、幾何学的・図形的(図表的構成要素)センスの良さが際立っている。
 
 
シャツの襟は、右が直線的であり、左が曲線的。
 
また輪郭は左を流れとして表現していることに対して、右は虫食いのような表現になっている。
 
 
2、「母と子」47.5×41cm 1903年 22歳 
子を守る母の顔と手。
 
その重なりと接触。手(肌)と布の表現。
 
母と子の顔が重なる画面中央には空間の深さを感じる。

背景の量と人物との構成バランス、明暗と調子の関係、調子の美しさ、内的光・形(肌)の輝きに注目。
 
 
3、「母と子」(母性)65×50.5cm  1905年 24歳
背景の左右の量、モチーフのための絵画的量バランスが理想的である。

母乳を吸う子の生命力と母の愛・優しさ。子どもの手からは母の乳房に触れる動きまで感じる表現力。
 
またその洞察力。

白・黒・ハーフトーン、調子・形・線、デッサン力で描かれている。
 
 
4、「女と鳥」65×49.5cm 1904年 23歳
背景の青とコスチュームの赤の色彩対比。
 
左右の背景の量の比。
 
こちらも3と同じくモチーフを描くのに理想の背景。

二等辺三角形(体)と台形(頭部)からは幾何学的構成がよみとれる。
 
 
5、「シュミーズの女」72.5×60cm 1905年 24歳
キャンバス…その広い背景の中に立つ人物。画面の広がりを強く感じる。

顔は横向きであることに対して、両肩は正面。
 
乳房は横向きに輪郭で表現している。
 
このことからはエジプト絵画の影響がうかがえる。

顔の存在感と体の平面性。三次元の二次元化をテーマにしている。
 
かたちとかたちが空間上、交錯する場の奥行きの配慮。奥へ奥へと。