qrcode.png
http://shizukichi-art.com/
モバイルサイトにアクセス!
 
■吉祥寺美術学院
〒180-0006
東京都武蔵野市中町3-23-13
ロイヤルヒルズB1
TEL.0422-50-0322
FAX.0422-50-0344
 
 
 
 
■静岡美術学院
〒420-0013
静岡県静岡市葵区八千代町24
TEL.054-272-3364
FAX.054-272-3379
 
 
 

partⅠ 冨樫 森(映画監督)

 

テーマ「表現について」

テーマ「表現について」
 
~シナリオをどうよむか。実際の演技、演出を通して表現の構造にふれてみよう。~
(テーマ『表現について』2015/8/2開催)
 
吉祥寺美術学院サンデー・ワークショップ記念すべき第一弾は、映画監督冨樫森さんをお招きしました!
 
冨樫監督は映画『おしん』など、数々の映画を制作するほか、俳優・脚本家を育てる学校『映画24区』にてご指導なさっています。今回、監督のご好意で、アトリエにて映画制作の一端に触れる貴重な機会に恵まれました。
 
普段絵を学んでいる学生達に、冨樫監督が事前に用意したシナリオの3シーンを実際に演じてもらいました。
 
演技を見る側の参加者にも事前にシナリオを配布。
 
何も演出を受けずに演じた後、監督の話を聞き再度演じます。
監督の「ヨーイ、ハイ!」のかけ声から始まり「カット!」の声がかかるまで。何度か繰り返される演技のその間に、監督は画面の流れや動き、それに伴う役者の配置、用語や映画界の歴史に至るまで、お話くださいました。
 
どんな気持ちでその言葉・台詞を言っているのか、あるシーンのメタファー(隠喩)についてなど、演者も鑑賞者も一緒に考えながら進めていきました。
 
なかでも、「よい映画はサブテクストが重要で言いたいことを台詞で言わない、台詞と台詞の間に広がるイメージやヒント、それがどんなシーンなのかを観る者に伝える」というお話は印象深く残りました。
 
(江戸時代の画家・伊藤若冲の『表の描写と裏の描写』という言葉を思い出しました。)
   
また、映画作りにも様々な違いがあり、絵コンテをもとに役者を動かす監督もいれば、冨樫監督は役者の人物に迫っていくような演出をして映画をつくっていること。
それには源流があり、日活ロマンポルノで作家性を生み出した相米慎二、神代辰巳、曾根中生、更にそのもとには彼らが助監督として経験を積んだ監督、今村昌平の存在があること。
 
以下、『映画における4つのこと』として監督のお話
 
1、3行でストーリーがまとめられること。(始・途中・終)
映画は主人公(一番苦難を受ける人)が、何を被って、どうしたか、の話である。
2、外的葛藤…主人公にとって周りがどう働きかけるか
3、内的葛藤…主人公になって呟く
4、核になる美しさ
映画で実際に映せるのは「人」という超具体物であり、これをどう魅力的に映せるかにかかっている。
   
そして今回、アトリエではモデルとしてお馴染みの役者・森羅万象さんも特別に出演。冨樫監督とは立教大の同期生です。当時は毎日のように二人でのんでいたとか。
 
監督が森羅万象さんを、ほかの出演者との違いで「止まっていることができる」こと、また監督の演出により演技を「変えることができる」ことが良い、とおっしゃっていました。
   
参加者の感想
・「初めて演技というものに挑戦した」という高3生Aさん。「ものすごく」緊張したとのこと。「なんかもう苦痛でした。」と正直にいいながらも「すごく楽しかったです。」と。
(Aさんは特に「もっと声出せ!」と監督に言われてましたが…なかなか出ないものなんですね。)
 
・将来映画監督志望の中3生Cさんは、鑑賞者側でしたが、監督の問いかけにも積極的に応え熱心に参加していました。
最初は何をやるのかわからず緊張していたそうですが、監督の言葉を聞くうちに「ずっと興奮していて、納得して激しく頭をうなづかせたり、感動して声を上げそうなところを必死で我慢して」いたそうです。
「いつか私も」このアトリエで「ワークショップを開きたい」と締めくくっていました。
 
・静岡から講習会受講中に参加したSさん。「ワークショップ中、私は冨樫監督の隣に座っており終始緊張していました。監督の演技開始時のかけ声には鳥肌が立ちっぱなしで、そのかけ声ひとつで場の空気が変化し、演技を鑑賞する側も緊張感をもって演技を見ることに集中できました。監督が役者さんに演技の指示をしたとたん人物の雰囲気が変わり、よりシナリオの描写がつたわってきてとても感動しました。普段映画を観る際に何とも思わず観ていた立ち位置にも登場人物の立場や流れを演出するきまりがあったりサブテクストによって感情が伝わるなど映画製作にはこんなにも細やかな演出が表現を伝えるために施されていたのかと感心しました。監督の話は全く新しく知ることばかりであり、ずっと心を動かされてばかりのワークショップとなりました。」

・演者だった浪人生のMさん。監督に「距離」を縮めるように具体的に指示を受け「セリフはしっかり覚えてきたのだが、場と空気をどう使うのかが難しかった。距離感のことなんて全く考えていなかった。セリフをどう言うかだけでなく、間のとり方も(時間と空間の)サブテクストが読めているかいないかで表現が全然変わってくる。そこまでが演じるということなんだなぁと初めて知った。プロの役者さんをその時初めて尊敬した。」
 
・同じく舞台に立った高3生Nさん。
「目に見えるものは実際に起こっていることのほんの一部に過ぎないと知った。(略)一見なんてことのない行動の裏には人間の、驚くほど複雑で生々しい心情が潜んでいる。
私が知った気になっている周りの人々にも、複雑で絡まった神経が通っているのだろう。それはきっと、一割だって理解することはできないだろうけど、少しかんがえてみようと思う。」
 
終わり際、映画監督志望の高3生Kくんが、「編集」についての質問をしていました。
誰と一緒に映画を作るか、人選は慎重に行うが、あとは美術担当者やカメラマン、編集についても同様にそれぞれ好きなことをやってもらう、任せることによって、監督が想定した以上のものを作り上げる、というお話は、興味深い話題でした。